2006年10月21日

設計の鍵は”バランス設計”と”基礎理論”

モータの設計はいわゆる”バランス設計”が大切となります。
ここで言うバランス設計のバランスとは、特性のバランスです。

モータの設計において、最も基本的な特性として、トルク特性が挙げられます。トルク特性とは、トルク-回転数-電流の関係を示す特性です。

この関係性を理解するためには、基礎理論が欠かせません。
モータのトルク特性は、運動方程式と回路方程式で決まります。

運動方程式
数式_運動方程式.jpg
左辺は回転系の質量となる慣性モーメントと回転系の加速度の角加速度 右辺第1項は電流に応じて発生する磁気吸引力,第2項は空気抵抗に代表される粘性抵抗,第3項は負荷トルク,第4項は軸ロストルクとなります。

回路方程式
数式_回路方程式
左辺は入力電圧、右辺第1項は抵抗よる電圧降下、第2項はインダクタンス成分、第3項は逆起電力といわれるモータの回転に伴う発生電圧となります。

ここで、大切なポイントとして、モータは電気エネルギーを使い回転する運動エネルギーを生み出すと同時に、運動エネルギーにより、発電を行っている点です。

その結果、モータはある一定回転数で回転する特性を示します。

このことは、モータを制御系としてみると、わかりやすくなります。
運動方程式および回路方程式は、制御工学の観点から一般に伝達関数と見ることができます。

2つの式をラプラス変換しブロック線図を描くと以下のようになります。

ブロック線図
ブロック線図

ここで、逆起電力がフィードバックとなるシステムが組まれている事がわかります。

モータの特性は以上に示した特性値で決まりますが、その特性値の特徴として、それぞれがトレードオフの関係を持っていることが挙げられます。

ひとつの例として・・・
トルク定数Ktは単位電流当りの発生トルクを示す値ですが、回転数あたりの発電量を示す逆起電力定数Keとは等しい値となります。(但し、単位換算をしない場合、比例関係となります。)
※入出力の関係(P=EI=ωT)から導出可能です。

ここで、無負荷回転数N0を入力電圧eとトルク定数Ktを用いて示すと、
N0=e/Ke=e/Kt
となリますが、無負荷回転数はトルク定数に反比例ことがわかります。
つまり、トルクも大きくて回転数も大きいモータは単純には作れません。

他の例として、
トルク定数はKt
Kt=2pφn
ただし、p:極対数,φ:磁束鎖交数,n:巻数
※DCモータの場合
と示せます。

トルク特性を大きくするために巻数nを増やしていくと、巻線抵抗が大きくなるため、電流が抑制されトルク特性は伸びません。


以上の例から言えることとして、
・出力の大きさはそのモータの大きさにより制限される。場合によっては仕様を満たせないかも・・・。
・出力の大きさは入力の大きさにより制限される。入力×効率<出力とはなりません。
・トレードオフの関係を理解するには基礎理論の理解が近道となる。

が挙げられますが、特に重要なのは、”設計のプライオリティ(優先順位)”です。 必要となる特性は何か?をはっきりさせて順をおって最適設計を導く必要があると言うことです。

ここでは、基礎理論のみに着目しましたが、他にも音振動に大きく影響するコギングトルクや信頼性や寿命に影響する軸周りの設計,などなど考慮すべき内容は多くあります。


また、詳細については、”5.モータの特性”にて記述します。


posted by 研究員 at 19:41 | モータ開発の難しいワケ
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